No.10 運動技術と身体の動き:手足の位置を見ずに感じる
 身体の気づきとは、筋肉を収縮させるときや、空間で身体を動かすときに起る感覚である。痛い、緊張する、疲れたと感じるとき、自分は身体の気づきを経験している。プレーヤーにとって大事なことは、身体の気づきの感覚が、筋肉のフィードバック(結果の知識)によって、手足の位置を知らされているということである。そのおかげで、自分の動きを知るのに、わざわざ自分自身の動きを見る必要はないし、手足がどの位置にあるかを確かめる必要もない。見るのではなく、感じることができるのである。

 身体の気づきは、試合のときだけでなく、練習のときにこそ用いるのである。練習中、身体の気づきに注意を向けフォームや動きを過剰学習する。過剰学習とは、課題をようやくできたという水準でやめないで、さらにその段階から反復練習をして、技術が安定し、リラックスできるまでをいう。過剰学習することによってのみ、身体の気づきに注意しなくてすむようになり、代わりに試合中に必要な情報に注意集中できる。動きは自動化され、無意識にコントロールできるようになる技術が固定化される。

 最高の技術を表現するプレーヤーは、とぎすまされた身体の気づきを持っている。

 身体の気づきは、運動技術を向上させる「鍵」である。